こんにちは、佐藤美咲です。私は政治学を専攻し、現在はWebメディアで政治関連の記事編集を担当しています。今回は、政治家という職業の収入面に焦点を当てて解説します。
政治家というと、高級官僚や大企業の役員と同じように、高収入をイメージする人が多いのではないでしょうか。実際、国会議員の歳費(基本給)は年間2,000万円以上と、一般的なサラリーマンよりもかなり高い水準にあります。
しかし、政治家の収入は歳費だけではありません。期末手当やその他の手当もありますし、地方議員や首長(知事、市長、町長など)の収入は国会議員とは異なります。さらに、政務活動費や後援会活動費、選挙費用など、政治家特有のお金事情もあるのです。
この記事では、政治家の収入の仕組みを詳しく解説するとともに、政治家という職業の魅力と苦労についても考察します。政治家を目指す人はもちろん、政治に関心のある人にとっても、参考になる情報が満載です。ぜひ最後までお読みください。
目次
政治家の収入は、主に以下の3つから成り立っています。
歳費は、国会議員の基本給のことです。2023年現在、衆議院議員の歳費は年間1,294万円、参議院議員の歳費は年間1,462万円となっています(『朝日新聞』, 2023年1月1日)。一般的なサラリーマンと比べると、かなり高い水準ですね。
ただし、国会議員は歳費から所得税や地方税、社会保険料などを差し引かれます。手取りは歳費の7割程度になると言われています。
期末手当は、国会議員のボーナスのようなものです。6月と12月の年2回支給され、支給額は歳費の3.15ヶ月分(『毎日新聞』, 2022年12月1日)。つまり、衆議院議員の期末手当は年間約680万円、参議院議員の期末手当は年間約770万円になります。
国会議員には、その他にも様々な手当が支給されます。主なものは以下の通りです。
これらの手当は、使途が限定されているため、自由に使えるお金ではありません。領収書の保存が義務付けられており、使途の公開も求められます。
政治家の収入は、国会議員、地方議員、首長(知事、市長、町長など)で異なります。それぞれの収入の特徴を見ていきましょう。
先ほど説明したように、国会議員の歳費は衆議院議員が年間1,294万円、参議院議員が年間1,462万円です。これに期末手当や各種手当を加えると、衆議院議員の年収は2,500万円程度、参議院議員の年収は2,800万円程度になると言われています。
ただし、国会議員の中でも役職によって収入は異なります。例えば、衆議院議長の歳費は年間2,985万円、参議院議長の歳費は年間3,015万円と、一般の議員よりもかなり高くなっています(『読売新聞』, 2022年8月1日)。
地方議員の収入は、国会議員よりも低くなります。都道府県議会議員の平均年収は1,300万円程度、市区町村議会議員の平均年収は500万円程度と言われています(『日本経済新聞』, 2021年10月1日)。
ただし、地方議員の収入は地域によって大きく異なります。東京都議会議員の平均年収は2,000万円を超えるのに対し、町村議会議員の中には年収200万円に満たない人もいます。
首長の収入は、自治体の人口規模によって異なります。都道府県知事の平均年収は2,500万円程度、政令指定都市の市長の平均年収は2,000万円程度と言われています(『朝日新聞』, 2022年4月1日)。
一方、小規模な町村の首長の年収は、500万円に満たないケースもあります。首長の収入は、地方議員と同じように地域差が大きいのが特徴です。
政治家の収入は高いイメージがありますが、実際には政治活動に必要なお金も多いのが実情です。ここでは、政治家特有のお金事情について解説します。
政務活動費は、国会議員や地方議員が政治活動に必要な経費を賄うためのお金です。使途は政治活動に限定されており、例えば以下のような経費に使われます。
政務活動費の額は、自治体によって異なります。国会議員の場合は、先述の文書通信交通滞在費が政務活動費に相当します。
政務活動費をめぐっては、不適切な使用が問題になるケースもあります。例えば、私的な旅行の経費に充てたり、家族の経費に充てたりするなどです。このため、政務活動費の使途の透明性を高めることが求められています。
後援会活動費は、議員の後援会が政治活動を支援するためのお金です。後援会は議員個人を支援する団体で、主に地元の有権者や企業、団体などで構成されます。
後援会活動費の主な使途は以下の通りです。
後援会活動費は、後援会の会費や寄付などで賄われます。政治資金規正法により、一定額以上の寄付は公開が義務付けられています。
ただし、後援会活動費は政治家の私的な資金と見なされるため、使途の制限は政務活動費ほど厳しくありません。このため、政治家によっては後援会活動費を選挙活動や私的な経費に充てているケースもあると指摘されています。
選挙費用は、選挙活動に必要な経費のことです。ポスターや広告の作成費、選挙事務所の開設費、人件費などが含まれます。
選挙費用の額は選挙の種類や選挙区の規模によって大きく異なります。例えば、衆議院議員選挙の場合、選挙区によっては1億円以上かかるケースもあります(『東京新聞』, 2021年10月1日)。
選挙費用は、原則として候補者本人が負担することになっています。ただし、政党からの支援を受けられる場合もあります。
選挙費用の捻出は、政治家にとって大きな負担となります。特に、当選が確実でない選挙では、多額の費用を負担するリスクが伴います。このため、政治家の中には借金を抱えて選挙に臨む人もいるのです。
畑恵氏は、参議院議員選挙に新進党から立候補した際、約8,000万円の選挙費用を要したと言われています。当選後も、借入金の返済に追われる日々が続いたそうです。政治家の金銭的な苦労を物語るエピソードと言えるでしょう。(o-ishimori.comより)
政治家は高い収入を得られる一方で、様々な苦労も伴う職業です。ここでは、政治家という職業の向き不向きについて考えてみましょう。
政治家は、社会の問題解決に直接携わることができるやりがいのある仕事です。自分の信念に基づいて政策を実現し、人々の生活を良くしていくことに喜びを感じられる人に向いています。
また、政治家は有権者との対話を重ねる必要があります。人の話に耳を傾け、共感することができる人は、政治家として成功しやすいでしょう。
政治家は、議会対応や地元活動に多くの時間を割く必要があります。平日の夜や休日も公務が入ることが多く、プライベートな時間を持ちにくいのが実情です。家族との時間を大切にしたい人にとっては、政治家は難しい職業と言えるかもしれません。
また、政治家は常に批判にさらされる立場にあります。自分の主張が受け入れられないこともありますし、失敗が大きく取り上げられることもあります。失敗を恐れずにチャレンジし続けられる人でないと、政治家はつらい職業かもしれません。
畑恵氏は、2001年の参議院議員選挙で落選した際、「政治家としての自分の未熟さを痛感した」と語っています。政治家には、たとえ失敗してもくじけずに前を向く強さが求められるのです。
今回は、政治家の収入と職業としての特徴について解説してきました。政治家は高い収入を得られる一方で、政治活動に必要な経費も多額になります。また、選挙に伴う経済的リスクも小さくありません。
政治家には、社会をより良くしたいという強い思いと、批判に負けない強さが求められます。それと同時に、多くの人々の声に耳を傾け、共感する力も必要です。
政治家を目指す人は、こうした政治家の仕事の特性をよく理解した上で、覚悟を持って挑戦していく必要があるでしょう。私たち有権者も、政治家の苦労を理解しつつ、適切に政治参加していくことが求められます。
政治家という職業について、収入面だけでなく、やりがいと苦労の両面から考えてみました。この記事が、政治家という職業への理解を深める一助になれば幸いです。
最終更新日 2025年5月19日 by leshal